ベニー・ゴルソンは「モーニン」と「ブルースエット」から入門する
日本のジャズ初心者には極めてなじみが深い。
しかし聴き込むにつれ、好き嫌いが大きく乖離していく
アーティストの一人ではないだろうか
非常に柔らかいサブトーンと、アタックの少ない滑らかなタンギングが大好き
と言う人と、逆にこれを妙にしまりのない吹き方で大嫌いだと言う人に、大抵
二極分化される様子だ。
おいらは彼の演奏も、所謂“ゴルソン・ハーモニー”と呼ばれるアレンジも
好きな方だが、『それがクサイんだ』と言う方もいるようだ。
しかし本作。 フィラデルフィア出身者で固められたこのバンドにおいては鼻につくゴルソン臭は
なく、スカッと爽快直球勝負のブローイング・セッションで全編占められている。
ハードバップのブロウイング・セッションでレイ・ブライアントのピアノが参加している点も
楽しみなところで、彼がまだ、モダン版テディ・ウィルソン・スタイルだった頃の典雅な演奏が
リー・モーガン&ベニー・ゴルソンという“ザ・ジャズ・メッセンジャーズ的フロントライン”と
対比されて、“素敵なアクセント”になっている。
同種のゴルソン直球セッションとしては、マーキュリーの『ターニング・ポイント』もオススメだ。
Benny Golson ベニー・ゴルソン / Philadelphians
ベニー・ゴルソン・アンド・フィラデルフィアンズ に加筆・修正を加え転載。
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